Microsoftは、AIアシスタント「Copilot」をMacおよびiPad向けのOneNoteに正式導入した。現時点では商用顧客向けにベータチャンネルを通じて提供されており、利用にはMicrosoft 365 Copilotサブスクリプションが必要である。Copilotは、ノートの要約、計画の生成、文章のリライトといった多様なタスクを支援し、生産性向上を目指すが、iPad版では音声入力が未対応という課題が残る。
Copilotのプレビュー版がOneNoteに登場
Microsoftは2024年10月、AIアシスタント「Copilot」のプレビュー版をOneNote for MacおよびiPadで提供開始した。このCopilot機能は、Microsoft 365の商用顧客向けに先行して提供され、ベータチャンネルの利用者がその恩恵を受ける形で展開されている。
MicrosoftはこのAI機能によって、ユーザーの日常業務や学習活動を効率化し、生産性を向上させることを目指している。Copilotは、OneNote内でのノート整理を支援するだけでなく、情報の要約やタスクの計画立案を容易にする。
たとえば、複数のノートから重要なポイントを抽出したり、議事録の自動生成が可能になる。また、文章のリライトもこなすため、既存の資料を簡潔にまとめ直すことができる。このように、Copilotは単なるメモツールの補助機能にとどまらず、ユーザーの多様なニーズに応える高度なサポートを提供することを目指している。
利用条件とコスト:Microsoft 365 Copilotサブスクリプションが必要
Copilotを利用するためには、Microsoft 365の商用サブスクリプションが前提条件となる。その上で、追加料金として一人当たり月額30ドルが必要であり、これは「Microsoft 365 Copilot」アドオンとして提供されている。個人利用者向けの展開は現時点では予定されておらず、主に企業や組織での使用が想定されている。
Copilotの利用開始には、ベータチャンネルへの登録が求められ、OneNote for MacまたはiPadのバージョン16.90以降を使用する必要がある。このサブスクリプションは単なるAI機能の提供にとどまらず、他のMicrosoft 365アプリにも組み込まれているAIサポートを最大限に活用するための鍵となる。これにより、ユーザーは一貫した体験を得られ、様々な業務プロセスをシームレスに統合することが可能になる。
iPadでの音声入力制限と機能の課題
現在のところ、CopilotはiPad版OneNoteにおいて音声入力の機能をサポートしていない。この制限は、特にモバイル環境での利便性を求めるユーザーにとって課題となっている。また、現時点ではCopilotはノート全体の内容を分析することができず、特定のページやセクションの情報に限定してしか支援できない。
Microsoftはこれらの課題を認識しており、今後のアップデートで改善を図る予定であるとコメントしている。ユーザーからのフィードバックを基に、AIが提供する機能の精度を高め、さらなる効率化を目指すとしている。ただし、音声入力や全ノートの分析機能が未対応であることは、現段階ではiPad版の使用感において一部のユーザーに不満を与える要因ともなりかねない。
ユーザー体験の向上と今後の展望
Microsoftは、Copilotの今後の展望としてより広範な機能改善を計画している。商用顧客だけでなく、個人利用者向けにも「Copilot Pro」として提供する準備が進められている。これにより、Microsoft 365のユーザー全体がAIの恩恵を享受できるようになる見込みである。
また、Copilotは他のMicrosoft 365アプリと統合されているため、異なるプラットフォーム間での作業も一貫してサポートされる。これにより、ユーザーはどのデバイスからでもシームレスに作業を継続することができるようになる。Microsoftは、今後もAI技術の発展に伴い、より直感的で多機能なユーザー体験を提供することを目指しており、Copilotの機能拡張を通じて生産性のさらなる向上を図る考えである。