Microsoftは、Photosアプリに新たなアップデートを提供し、Copilot+デバイス向けに実用的なAI機能を導入した。この更新には、画像を最大8倍に拡大・改善する「超解像度」機能と、画像内テキストを即座に抽出するOCRが含まれる。

これらの処理はローカルで行われるため、ユーザーのプライバシーも保護されている。新機能はInsiderプログラム参加者向けに先行配信されており、Photosアプリをバージョン2024.11100.17007.0以上に更新することで利用可能となる。

超解像度:AIで最大8倍の画質向上を実現

Microsoftは、Copilot+デバイス向けに超解像度機能を追加し、AI技術を活用した画質の向上を実現した。この機能は、写真の画質を最大8倍にまで拡大できる点が特徴で、低解像度の画像や古い写真を鮮明に復元する用途にも優れている。さらに、ポスターや展示用に大判印刷する場合にも対応できるため、解像度不足による画質の低下を防ぐことが可能である。

また、特定の部分にズームインし、切り抜きを行う場合でも、画質を損なわずに鮮明さを保てるのが大きな利点だ。この技術は、デバイスのSnapdragonプロセッサに内蔵されているニューラルプロセッシングユニット(NPU)を活用するため、処理速度が高速で、バッテリーへの負担も抑えられる設計となっている。

OCR搭載:画像内のテキストを瞬時に抽出

新たに追加されたOCR(光学文字認識)機能は、画像内の文字情報を解析し、テキストデータとして抽出できるようにするものだ。この機能により、ドキュメントや名刺、看板など、あらゆる画像から文字を即座に取得でき、ユーザーはそれを他のアプリやドキュメントに貼り付けることが可能になる。

従来は、こうした文字を手動で入力する手間がかかっていたが、このOCR機能によりその負担が軽減される。特に、会議や取材などの現場で撮影した資料の文字情報を素早く活用したい場合には非常に有用である。また、このOCR機能は日本語を含む多言語に対応しており、国際的な利用シーンでも高い実用性を発揮する。

プライバシー重視:ローカル処理による安全性の確保

Microsoftの新しいPhotosアプリでは、全ての処理がローカルで行われる設計となっており、プライバシー保護が強化されている。画像データは外部のサーバーに送信されることなく、デバイス内部で完結するため、個人情報やプライバシーに関わるデータが第三者に漏洩するリスクが低減される。

特に、企業や個人ユーザーにとって、外部サーバーを経由しないことで安心して利用できる点が大きな魅力である。クラウド依存が強まる現代において、このようなローカル処理の重要性はますます高まっている。さらに、オフライン環境でも正常に機能するため、インターネット接続が不安定な状況下でもスムーズに利用できる。

Insider向け配信開始:新機能の試用方法

今回のアップデートは、Windows Insiderプログラムに参加しているユーザー向けに先行して提供されている。このプログラムに登録することで、Photosアプリの最新機能を他のユーザーに先駆けて試用できる。新機能を利用するためには、Photosアプリをバージョン2024.11100.17007.0以上に更新する必要があり、Microsoft Storeから簡単にインストールできる。

また、Insiderビルドにアクセスするには、対応するCopilot+デバイスを用意することが条件となっている。これらのデバイスでは、AIによる画像処理が円滑に行われるよう最適化されており、スムーズな体験が期待できる。アップデートの頻度も高く、常に最新の技術をいち早く試せるのがInsiderプログラムの魅力である。