デジタルワークプレースの普及に伴い、企業は急速にストレージの上限に直面している。Microsoft 365をはじめとするクラウドサービスでは、適切な管理を怠ると費用が急増するリスクが高い。Cloud Essentialsは、ストレージ最適化のための戦略を提案し、11月19日にウェビナーを開催する予定である。
ここでは、データのライフサイクル全体を見据えたバックアップやアーカイブの利用法を通じ、コスト削減と業務効率化の方法が紹介される。ストレージ管理は単なる技術的な課題ではなく、コンプライアンスやリスク管理も関わるビジネス全体の問題である。
デジタル時代のデータ増加とストレージ課題
企業は日々膨大な量のデータを生成し、これがクラウドストレージの消費を加速させている。Microsoft 365のようなプラットフォームを利用する際、多くの企業が見落としがちなのがデータの急増に伴うストレージ費用の上昇である。ストレージ容量の制限がある中で、何も対策を取らなければ、上限に近づいた段階で突然の追加費用が発生するリスクがある。
また、不要なデータを放置することで管理負担が増し、業務効率の低下を招くケースも少なくない。このような事態を防ぐには、データのライフサイクル全体を管理する戦略的なアプローチが必要不可欠である。さらに、組織内の異なる部署が独自にファイルを保存・管理することで、いわゆる「コンテンツスプロール(無秩序なデータ散在)」が発生する。これにより、同じデータが重複して保存され、ストレージの消費が加速することになる。こうした課題を解決するためには、企業全体で協力し、統一されたストレージ方針を策定する必要がある。
Microsoft 365の標準機能を活用した効率的な管理方法
Microsoft 365には、ストレージ管理を効率化するためのいくつかの機能が備わっている。例えば、SharePointやTeamsでは、バージョン管理機能を活用することで、不要なデータの蓄積を抑えられる。しかし、バージョン管理を適切に運用しないと、意図せずに多くのバージョンが保存され、かえってストレージを圧迫する結果を招くことがある。また、365の各種ツールには、データ保持ポリシーの設定が可能である。
このポリシーを活用すれば、一定期間を過ぎたデータを自動的に削除したり、アーカイブに移動することができる。ただし、ポリシー設定が不十分であったり、運用担当者の理解不足があると、本来必要なデータが消失するリスクもあるため注意が必要である。このように、Microsoft 365の標準機能を適切に活用することは、ストレージコストを抑えるための基本である。各ツールの機能を把握し、運用ルールを明確にすることが、効率的なストレージ管理への第一歩となる。
バックアップとアーカイブの使い分けによるコスト削減
ストレージコストを削減するには、データのバックアップとアーカイブを使い分けることが重要である。バックアップは、障害やデータ損失に備えるための対策であり、迅速な復旧を目的としている。一方、アーカイブは、長期間使用しないが保存が必要なデータを保管するもので、頻繁なアクセスを想定していない。Microsoft 365の環境では、これらの目的に応じた適切な運用が求められる。
バックアップを過剰に行うと、ストレージを大量に消費し、コストが急増する可能性がある。そこで、業務に直結する重要なデータのみを対象としたバックアップポリシーを設定することが推奨される。一方で、アーカイブを有効に活用することで、不要なデータを本番環境から移動させ、ストレージの負担を軽減できる。データのライフサイクルを見据え、適切な時期にアーカイブすることで、長期的なコスト削減と運用効率の向上が見込まれる。
ストレージ戦略の策定に必要な組織内の連携と意思決定
効果的なストレージ管理を実現するためには、企業全体での連携が欠かせない。IT部門だけでなく、データを生成・管理する各部署の協力が必要であり、ガバナンスやコンプライアンス担当者との連携も重要である。特に、データの保持期限や削除タイミングを決定する際には、各部門の意見を反映させた合意形成が求められる。意思決定のプロセスを円滑に進めるためには、経営層からの支援も不可欠である。
コスト削減と業務効率化の両立を目指すためには、ストレージ最適化が組織全体の戦略に組み込まれている必要がある。そのため、ストレージ戦略の策定プロセスでは、全社的な視点でのアプローチが求められる。
さらに、ストレージ戦略の実行には、具体的なアクションプランとモニタリング体制が必要である。これにより、各部門が戦略に沿った行動を取るよう促し、定期的な見直しを通じて継続的な改善を図ることが可能になる。最適なストレージ管理は、単なる技術的な課題ではなく、ビジネスの成功を左右する重要な要素となる。